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おすすめ本

日本の敗戦 06/8/24

日本の敗戦の裏面史を語る4点


(順番を入れ替えました。8/30)

 

 

対日占領政策の形成 
アメリカ国務省 1940-44

1982年刊/A5判/187頁/2000円+税
チラシ 8/30

本書は、GHQつまりアメリカの対日占領政策が、日本の対米開戦前からすでに、アメリカ国務省において議論されていたという驚くべき事実を、アメリカ国務省の資料をもとに明らかにしたものです。この長い政策論議を経て、日本の戦後占領政策が実施に移されたわけですが、象徴天皇制に大転換した、新憲法をもとにした日本の民主化は、アメリカ国内の対日強硬論を抑えた結果生まれたものだという。占領政策論争においてもしも強硬派が勝利していたならば、戦後の日本、つまりは現在の日本は、まったく別の姿になっていたことは明らかです。憲法改正論議が高まるなか、占領政策がいかにして形成されてきたのか、占領する側の論理から振り返るのは非常に有益です。堅い内容に見えますが、まるで物語でも読むような読みやすさです。

 

 再審査

1982年刊/四六判/241頁/1500円+税
チラシ 8/30

本書は、九大生体解剖事件に連座して、横浜軍事法廷において絞首刑を宣告された元九大医学部助教授の妻が、夫の無実を証明するために孤軍奔走し、4年もの歳月をかけて、絞首刑から10年への減刑を勝ち取ったという、奇跡的ともいえる事件を綴ったものです。本書を見ても、勝者による裁判がいかにいい加減なものであったかが、歴然としてきます。(若干、記憶違いの箇所があり、訂正しました。8/25)米軍捕虜の生体解剖という恐るべき事件を審理するに際しても、この事件の首謀者であった軍人は罰せられず、責任を問われるべき立場にはなかった著者の夫が身代わりのようにして絞首刑を宣告されるという、いい加減かつきわめて政治的なものでした。せめてもの救いは、明白な証拠を提示すると、一旦下した判決でも、取り消す公正さがGHQ、つまり占領米軍にもあったということです。

●9/1 本書事件は、あらためてご紹介するまでもなく、遠藤周作の代表作の一つである『海と毒薬』のもとになった事件ですが、『海と毒薬』はあくまでもフィクション。本書は、事件当事者自らが記した唯一のドキュメントです。

 

秋霜の人 広田弘毅

1998年12月刊/四六判/300頁/2700円+税

広田弘毅はあらためていうまでもなく、東京裁判において唯一文官で有罪となり、絞首刑で処刑された人物です。本書は広田の伝記ではありますが、単なる個人の伝記というよりも、広田を軸にして1930年代から敗戦へといたる当時の時代相を、資料を駆使して明らかにしたものです。東京裁判についても、広田がなぜ絞首刑という極刑を受けなければならなかったのか、勝者による裁判の動きも、資料をもとにしつつ明らかにされています。

 

広田弘毅<復刻版>

1992年刊/A5判凾入/646頁/7670円+税(品切れ)

本書は広田弘毅の人となりと事蹟を詳細に辿った、唯一の伝記です。自らは語ること少なかった広田に代わり、広田の事蹟を後世に残そうとして伝記刊行会が結成され、4年もの歳月をかけて編纂作業がつづけられ、昭和39年に刊行されたものです。本書刊行に際しては、当時の政財官界等の錚々たる人物が賛同者として名を連ねています。その後絶版になっていましたが、平成4年4月に当社にて復刻版として再刊したものです。広田個人の伝記であるとともに、日本の昭和の外交裏面史であり、東京裁判の詳細な記録でもあります。広田弘毅その人は自らは一言も釈明することなく、絞首刑をただ黙して甘受した、その事実だけが今なお重く残っています。

  

(以上4点 葦レポート21号(3)より。久本福子 06./8/24)

 

  
 

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