■04/5/31 昨日(5/30)、「大英博物館の至宝展」を見ようと福岡市美術館に行ったのですが、長蛇の列にビックリ。待つ時間が惜しくて帰ろうかとも思いましたが、だいぶん前に使った常設展のチケットの残りの半券があるのを思い出して常設展をのぞいてみました。残っていた券は2階の会場分だったのですが、「西本コレクション」「靉嘔の版画とオブジェ」「富田渓仙展」の3展が初見もの。偶然に偶然が重なっての観覧だったのですが、あまりの作品のすばらしさにビックリのビックリ。
市美術館に西本宏氏寄贈による、現代美術を中心にした「西本コレクション」ができたというのも昨日初めて知りました。今回展示されている作品には初めて目にする画家のものがかなりありましたしたが、名は知らねども一目みるなり目が釘付けになるほどの作品ばかりです。有名画家の作品も展示されていましたが、いずれもわたしがこれまで見たどの作品よりも緊迫感に満ちており、この画家はこんな絵を描いていたの?!!!と驚かされてしまったほどです。つまり、初めて目にした西本宏氏というコレクターは、並はずれた鑑識眼の持ち主らしいのですが、壁に貼られた解説にも「世界の名作や珍品を集める蒐集家とは異なる独特の鑑識眼」の持ち主だと書かれていました。まったくその通りだと思い、解説の一部を手帳に書き留めましたので、みなさまにもご披露いたします。手許不如意で、カタログをパラパラと立ち読みしただけですが、冒頭に書かれた西本氏の文章には、このコレクションの魅力の由来のすべてが語られていました。残念ながら会期は5/30まで、終了しました。
「靉嘔
アイオウ」展も、これまで繰り返し目にしてきた靉嘔のイメージを一新するものばかりでした。レインボーカラーで有名なこの画家は、その名は知らなくてもその絵はどこかでみたことがあるというほど有名だと思いますが、靉嘔作品には、わたしはずっと非常に緻密に計算されてつくられた無機質的な作品だとの印象を強く抱いておりました。しかし今展では180度、その印象がひっくり返ってしまいました。虹という単一の素材を使いながら、思いもかけぬ世界が次々と生み出される不可思議さ。虹を活かすその複雑な構図こは驚きの一語ですが、無機質どころか、虹をつかってなされた実に多面的な世界の開示です。鹿児島出身の画家ですが、確か近年亡くなられたはず。会期は6/13まで。
なお、この靉嘔の作品を表紙につかった「福岡市美術館の楽しみ」が当社より1995年10月に刊行されています。「joyful
! 楽しみ」をキーワードにしたとてもユニークな楽しいガイドブックです。(5/31)
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