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ただ今、サイトの大幅リニューアル中です。取り急ぎ、「葦の葉ブログ」を移転しました。ブログを書き始めると、適度な長さで公開できるブログの書きやすさにはまってしまい、毎日でも更新したいという誘惑にかられる日々を送っておりますが、月一更新の「葦の葉通信」をどうすべきかという悩みが一方で出てきました。「葦の葉通信」だけを発行している時は、月一更新には何の違和感も感じませんでしたが、頻繁に更新するブログを書き始めると、「葦の葉通信」をほったらかしにしているような気分にも見舞われておりました。そこで、サイトも大幅にリニューアルし、両者を統一することにした次第です。

ホームページ作成ソフトのテンプレートを使えば、スマホ版も同時に作成できますが、テンプレートを使わずに手作りで作成しましたので、スマホ版へは今のところ自動変換はできておりません。昨今は、スマホでWEB閲覧をされる方が大半だとのことですので、スマホ版変換にも挑戦したいと思っておりますが、少し時間がかかりそうです。
 
 
 
 
  葦の葉ブログ   久本福子

 
   2018年2月12日
NEM流出と株価急落
   

/26の未明、仮想通貨取引所コインチェックから、日本円にして580億円相当のNEMという新顔の仮想通貨が流出したことが判明して以来、何やら不穏な雰囲気が世界を覆っています。具体的にいえば、580億円もの巨額のNEMが不正流出した事件とまるで連動するかのように、アメリカで株価が急落、それもリーマンショック時以上の急落だという。その影響を受けて日本を含めて世界中で株価が急落中。しかしアメリカの実体経済はかつてなく好調で、リーマンショック以上の株価急落を招く理由は見当たらない。雇用環境もかつてなく良好で、賃金水準も上昇中だとのこと。


にもかかわらず、なぜ株価だけが急落しているのか。逆の現象はしばしば発生していますが、実体経済が非常に良好な中、株価だけが急落するという現象はまず例がないはず。単体銘柄では、空売り操作で急落する例は多々発生しているはずですが、株価全体が、世界的規模で急落しているのは、空売り操作によるものではないのは明らかです。


専門家は、この株価急落の原因をあれこれ解説していますが、素人にはこじつけ的な理由づけでしかないようにみえます。わたしは、素人の単純さで、NEMの不正流出に端を発した仮想通貨の急落と株価の急落は連動しているのではないかと推測しています。しかし素人推測なので、専門家の中で、素人のこの推測を裏付けるような説を発表している人はないかしらと探していたところ、ギョッとするような記事を見つけました。


MONEY VOICENEMに掲載されていた、NEM不正流出事件直前の1/25発行のメルマガ「カレイドスコープ」からの以下の抜粋記事です。


上記カレイドスコープ(執筆者の名前はなし)の記事は『現在のビットコインはあくまで「疑似餌」です。2018年は、暗号通貨市場と株式マーケットで、連鎖的に「地獄の釜の蓋」が開く年になるかもしれません。』という予言めいた文章で始まるのですが、その直後にNEMの不正流出事件と株価の大暴落が起こり、この予言の余りの的中に身の毛のよだつ思いに襲われます。この予言は、当然のことながら明確な根拠に基づいてなされているのですが、カレイドによれば、ビットコインはヘッジファンドの配下におかれているとのこと。ヘッジファンドが投機の対象にするほどに、ビットコインの市場的価値が質量共に巨大になったことを意味しているそうですが、「暗号通貨市場と株式マーケット」が連動するに至ったのは、その結果でもあったわけです。


この両者のつながりについては、一般の専門家はあえて無視しているのか、指摘した人はいないようですが、わたしの直感的推測はどうやら当たっていたようです。NEM流出以前からビットコインは下落し始めていたそうですが、カレイドによれば、それも市場操作を企む計画的な動きだとのこと。ここまで来ると、素人にはついていくのも難しくなりそうですが、NEM流出までもが、そうした動きの一環だとは思えません。


マスコミ報道や、1/26に開いた緊急記者会見NEM社長や同社幹部と記者たちの長い長い長いやり取りを読んだだけの、確たる根拠には乏しい素人の推測ですが、わたしは、NEM流出は、コインチェック自らも絡む、やらせ犯罪ではないかと疑っています。それもコインチェック単独によるものではなく、外部から持ちかけられた犯罪ではないかと疑っています。その外部とは、ヘッジファンドのようなプロ集団ではなく、もっと素人に近い勢力です。ビットコインを頂点にした仮想通貨市場への不安感、不信感をかき立てることを最大の目的にしたものではなかと思われます。


なぜか、これもNHKを含む日本の一般マスコミではほとんど報じられていませんが、今年の1月半ばすぎに、アメリカを代表する世界的銀行JPモルガンやゴールドマンサックスなどがビットコインの売買に正式に参入することを発表したという。これらの大銀行が正式に参入するということは、ビットコインないしは仮想通貨市場が事実上これら大銀行の監視下(管理下)に置かれることを意味します。それを嫌った勢力が、ビットコイン(仮想通貨)市場の価値を貶め、有望市場ではない状況を現出させ、大銀行の参入を阻止することを狙った犯罪ではないか、というのが素人探偵の推理です。


当然のことながら、コインチェックには何らかの形で報酬は支払われたか、支払われる予定だったはずですが、おそらく想定どおりのシナリオでは事は進んでいないはず。盗んだNEM580億円の、他の仮想通貨か法定通貨への交換が完了するまでは、この犯罪は終わらないはずですが、盗んだNEMにマーカーがつけられ、交換が困難になっています。現在のところ、5億円分だけ他の仮想通貨に交換したようですが、交換に応じた男性が警察から事情聴取を受けるという事態になっています。こうした中、コインチェックは本日より、日本円の出金だけを再開しましたが、財産を盗まれた最大の被害者への補償は無期延期状態。無責任きわまりないですが、事業は継続する意向とのこと。規制がなきに等しいので、こういう事業者でも法的には何の責任も問われないらしい。


日本の仮想通貨市場は世界の約半分を占めており、アメリカ以上の市場占有率だとのことですが、裏を返せば日本はアメリカ以上に規制が甘いということです。犠牲者が出ても、規制緩和が最優先であるとの安倍政権の方針によるものだと思いますが、それが裏目に出たのが今回のNEMの犯罪ではなかったかとも思われます。これだけ巨額の資金が動く業界で、満足なセキュリティ基準もなく放置されていたのは、政府当局者の怠慢でもあったとの非難は免れないのではないか。


 ところで、ビットコイン(仮想通貨)の価値の源泉ともいうべきブロックチェーン(分散台帳)の威力は、今回のNEMの流出でわれわれ素人でも視覚的に確認することができました。全ての取引を記録するというブロックチェーンは、盗まれたNEMにマーカーを付けるという技も加わり、その動きがもらさず記録されていきます。わたしは、その画像を貼り付けたサイトで台帳の一部を見たのですが、大変な技術だとあらためて感心しました。目下のところ、個人名はすべて匿名ですが、何らかの方法で個人名を特定する機能が加われば、犯罪防止は完璧になるはずです


 ブロックチェーンは、台帳作成技術そのものが価値の源泉であるとともに、台帳を作成するという参加者による業務が投機的価値の最大の源泉になっています。これが、記帳作業を全自動化することが可能であるにもかかわらず、自動化しない最大の理由です。ビットコインは最速で作成した人が、ビットコインを入手することができるという仕組みですので、最速のコンピュータ所有者が有利になり、富の偏在を生むといわれていますが、NEMはこうした欠点をもつビットコインに対抗して生まれた仮想通貨だとのことで、普通のパソコンでも参加できる手数料方式にしたとのこと。


しかしどちらの方式にせよ、素人には訳が分からないというのが正直な感想です。ところが折も折、27日のロイター通信に、驚くべきニュースが報じられていました。


[北京7日 ロイター] - 中国政府のシンクタンク、中国社会科学院(CASS)は、各国の中銀は国際決済での仮想通貨利用を検討すべきだとの考えを示した。(中略)CASSは、国際通貨基金(IMF)か、もしくは、特定の国が主導する決済システムを提言。さらに、IMFと特定国のシステムを合わせた形態が最も実現可能だと推奨した。


 これはほぼ中国政府の方針であると考えてもいいかと思いますが、このニュースも日本のマスコミはNHKも含めて報道していません。日本では、仮想通貨に関しては、マイナスイメージを振りまくような事件については大々的に報道されますが、逆のニュースはほとんど報道されません。


 上記報道によると、中国は意外なことに、仮想通貨市場では自らが主導権を握ることは考えていないということになりますが、金融市場の管理運営は長い長い歴史的蓄積のあるプロ集団に任せる方が市場の安定的発展に資するとの判断に至ったものだと思われます。NEMの不正流出も含めて、仮想通貨をめぐる犯罪は、その技術によって引き起こされるものではなく、明確な管理者不在、発行者不在という、仮想通貨最大の特性によって引き起こされてきたわけですから、強力な権威に裏打ちされた管理者、発行者の登場は不可避だと思われます。前出のカレイドスコープは、仮想通貨が管理されることになることには猛烈に反対していますが、そもそも仮想通貨はドルを主軸にした各国の法定通貨との交換可能性によって、その価値の実質は担保されているわけですので、法定通貨を発行している通貨当局やそれに類する権威ある機関の管理を拒否するのは筋違いではないかと思います。


発行管理者が明確化された体制下で、仮想通貨による送金がごく一般的な標準になれば、振り込み詐欺の大半は消滅するはずですし、マネーロンダリングも困難になるはずです。こうした犯罪に関わっている勢力にとっては、あらゆる手段を使って阻止したい事態であるのは言うまでもありません。


実はわたしは、昨年12月に個人出版した『貨幣の謎とパラドックス―柄谷行人論・原理論編』の中で、国際的な権威ある機関の許で、世界デジタル通貨の発行を提言しています。本書は、紙本電子本を出していますが、電子本の方で、ちょうど仮想通貨を論じた最後の当たり、紙本でいうと約6ページ分が、23行ずつ改ページされるという奇妙な不具合が発生していました。読者の方は、最初の2行での改ページでもう終わったと思われて、その先は読んでおられない方もあったのではないかと思います。お詫び申し上げます。


現在は改ページの不具合は修正しております。ご購入、ご購読いただいた方には、修正した旨ご連絡いただけるようにAmazonには申請しておりますが、連絡するかどうかは、不具合の程度によるとのことでした。お詫びをかねて電子本の無料公開を予定しておりますが、葦書房のサイトで発行する「葦の葉通信」の更新時、2/16前後を予定しております。


 貨幣の謎に、柄谷行人を介して哲学的アプローチで迫ったものですが、哲学、経済とも素人ゆえに、専門家的な読みづらさはないと思います。著者本人が素人ですので、その素人の頭で理解できたレベルで、貨幣の正体を解剖したものです。是非、ご一読ください。

2/17()17時~2/20()1659

 

 
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